平成25年度独立行政法人福祉医療機構福祉振興助成事業

「子ども・女性を対象とした
 虐待連鎖防止事業」報告

「性」と引き換えに「生」を得る人生を何とかしたい

性産業の「商品」として「使い物」にならなくなってはじめて福祉につながる現状を変えたい

過去の経験による「援助交際」「望まない妊娠出産」「育児放棄」という暴力連鎖を止めたい

 

こうした想いから、「しあわせなみだ」では、平成25年度独立行政法人福祉医療機構社会福祉振興助成事業として、「子ども・女性を対象とした虐待連鎖防止事業」を実施してきました。

 

暴力が起こっていることは分かっている。

暴力の連鎖が起こっていることも分かっている。

見て見ぬふりはしたくない。

だけど、何をすればいいか分からない。

 

そんな状況から、一歩、踏み出すために。

私たちはこれからも活動を続けていきます。

◎事業概要

暴力のサイクルから抜け出すことが難しい現状に対して、暴力のサイクルの「入口」と「循環」双方からアプローチすることで、虐待連鎖を防止する

 

報告書ダウンロード(PDFファイルです)

.家に帰れない子どもたちを対象とした宿泊所提供ならびに福祉サービスへのつなぎ
家族からの虐待で自宅に戻れない子どもたちが、泊まれる場を確保するために性売(売春)をせざるをえないことで、さらなる暴力のサイクルへとはまっていく。そんな悪循環を断ち切るために、当面の居場所を確保し、適切な公的サービスにつなぐ活動を行ないました。 (連携団体:NPO法人BONDプロジェクト

 

★実績

■家に帰れない子どもたちを対象とした宿泊所提供と福祉サービスへのつなぎ
8ヶ月で187名に宿泊所を提供。うち10代が40.1%。36.4%は性被害を経験。
(2013.6.1-2014.1.31)

性被害、親や親族からの虐待、いじめ等を経験した子どもたちは、自殺念慮を抱き、自傷、性売(売春)、アディクト(薬物やアルコールへの依存)等、生きることが辛い状況に置かれています。
福祉サービスにつながることが難しい場合も多く、継続的な関わりが必要です。

 

宿泊日数
1泊 162  
2泊 23 
4泊 2 
187(のべ216泊) 
187名に、のべ216泊の宿泊を提供しました。
8ヶ月245日間、10日で8.8人が宿泊していることに
なります。恒常的なサービス提供が必要です。

 


最も多いのは20-21歳で、全体の4分の1を占めています。

全体の4割は10代で、15歳以下も6.4%います。

18-19歳は未成年ですが、児童福祉法の対象から外れ、法制度の支援から漏れている世代です。

 



■他(抜粋)

【家族】親の過干渉/両親のDV/母の彼との関係/親に生活費を渡している/
    親にお金を貸してと言われる/親を交通事故で失ったトラウマ
【対人】人と関わるのが怖い/対人関係が築けない/ネットトラブル
【恋愛】男性依存/お金をもらわない分一緒にいてもらう/元恋人からのストーカー
【学校】アカハラ/体調不良で休学中
【職場】セクハラ/パワハラ/職場での人間関係/仕事をやめたいがやめられない/就職への不安
【過去の経験】フラッシュバック/性暴力のトラウマ
【病気】情緒不安定/摂食障害/難病

 

宿泊所を提供した子どもたちは、1人平均3.9個の課題を抱えていました。
4人に3人は、家族不和の中で生きてきました。35%は家族からの虐待に遭っています。
55%は自傷を経験、約4割は今も自殺念慮を抱いています。
36.4%は性被害に遭い、2割の子どもたちに、性売(売春)や性産業の経験があります。1割は妊娠・中絶をしています。
ある課題を抱えたために、さらなる課題に巻き込まれ、暴力の連鎖に陥り、生きることが辛い状況に置かれていることが分かります。

 

■宿泊所提供後の関わり(抜粋)

(14歳)いじめで不登校、自傷と自殺念慮があったため、弁護士につないだ。
(15歳)家族からの虐待やいじめを経験、性売、アディクション、自殺念慮もあり、同行、付き添い。
(17歳)家族からの虐待、性被害の経験もあり、自傷や性売もしていたため、民間支援団体につないだ。
(18歳)地方から来て、住む場所がなく、性産業に従事していたため、一時保護につないだ。
(19歳)性産業で妊娠、病院に同行し、中絶手術をした。
(20歳)自宅まで帰るお金を持っていなかったため、支援した。
(20歳)家族からの虐待で家に帰れず、性売で生活、中絶経験や自殺念慮もあり、一時保護につないだ。
(20歳)難病、家族からの虐待、性産業や性売、中絶も経験、借金があったため、弁護士につないだ。
(20歳)難病があり、借金、アディクションもあったため、婦人相談員につないだ。
(20歳)お金がなく、食べていなかったので、食料を支援した。
(20歳)住居がなく、性売や性産業で生活、自殺念慮もあったため、自治体につないだ。
(21歳)家族からの虐待に遭っており、福祉事務所につないだ。
(23歳)性被害に遭い、性感染症の心配があったため、病院に同行し、検査を受けた。
(23歳)性産業、性売を経験し、妊娠の可能性があったため、検査を受けた。
(23歳)家族からの虐待に遭い、家に帰れないため、一時保護につないだ。
(23歳)家族からの虐待、中絶経験、自殺念慮もあったため、一時保護につないだ。
(24歳)家族からの虐待に遭い、薬物依存、自傷もあったため、民間支援団体につないだ。
(24歳)家族からの虐待で家に帰れず、性売や性産業で生活、中絶経験や薬物依存もあり、一時保護につないだ。
(24歳)所持金がなく、性売や性産業で生計を立てていたので、一時保護につないだ。
(24歳)家族からの虐待、パートナーからの暴力に遭い、性産業で生活、衣服等を持っていなかったので、支援した。
(26歳)セクシュアル・マイノリティで、いじめ、パートナーからの暴力、性産業を経験、自傷もあったため、一時保護につないだ。

.施設で暮らす子ども・女性を対象とした暴力経験の振り返り&退所後の自立生活応援

施設で暮らす子どもや女性たちに、全国社会福祉協議会が作成した暴力被害者のための支援ツール「あなたの歩み」のワークショップと、自活スキルを身につける講座を提供しました。過去を振り返り、自立して暮らしていかれるスキルを身につけることで、心のケアを行なうとともに、再び暴力に遭わない力を、一人ひとりが持てるようにしました。

(実施施設:千葉県・東京都・神奈川県の児童養護施設・母子生活支援施設・婦人保護施設・更正施設・ステップハウス計11か所)

 

★実績

[暴力経験を振り返るワークショップ]

(連携団体:メンタルケアサロンピュアラル

5施設13講座のべ110名が参加

 

[“ココロにきく”メーク講座]

(連携団体:メンタルケアメーク21

9施設23講座のべ139名が参加

 

[“ココロも満たされる”料理講座]

(連携団体:子どもを守る目コミュ@文京区
5施設 12講座のべ56名が参加

 

[“ココロも元気になる”護身術講座]

(連携団体:リアライズYOKOHAMA

7施設 15講座のべ113名が参加

 

 

 

.施設職員に対するスーパービジョン
施設で働く職員たちへの支援も、暴力のサイクルから子ども・女性を引き離すための大切な活動です。暴力に遭った当事者たちが回復するための技術を伝えることはもちろん、援助目標の統一や、職員のモチベーションが向上する環境づくりのサポートも行なっています。 (連携団体:メンタルケアサロンピュアラル

 

★実績

4施設 11講座 のべ75名が参加

 

Supported by Social Welfare Assistance Project(Welfare And Medical Service Agency)